2020年6月5日、裁判所からの要請により親権に関する調停を行いましたので紹介します。
概要と目的
概要は日本の離婚調停と同じです。中立の立場の調停員のもとで夫婦でCustody(親権)とParenting time (養育スケジュール)の同意(Agreement)を目指します。
コロナの影響かどうかは分かりませんが、今回は電話会議でした。
事前のメール連絡では、1時間半ほどを予定しているとのことでした。
親権に関して日本とアメリカの違い
これは何といっても、アメリカでは共同親権が認められ一般的であることです。
子供と過ごす時間(養育時間)を父親と母親で50%-50%で、半々に調整します。
一方が完全にこれを放棄するか、児童虐待などがない限り、日本のように単独親権を獲得することは出来ません。
児童虐待も一方の親による証言、録画録音などの証拠では不十分で、第三者機関に依頼し費用を負担し証明する必要があります。
暴力を伴わない、言葉や態度による虐待(親から子へのモラハラ)は、虐待として認定されないと考えた方が無難です。それが出来るなら僕も使います。
夫婦間のDVは考慮されません。子供へ虐待が無ければ50%の親権(養育時間)が獲得できます。
実際にあった話です。妻からのDVで夫が大ケガを負い、妻は数ヵ月服役しましたが、子供への虐待はかなったので出所後は、50%の親権が認められました。
実際にはケースバイケースのスケジュールを組みこの50%-50%を達成します。子供達は、一週間は母親の家で過ごし、次の一週間は父親の家で過ごすという感じです。僕のフットサル友達の一人は、一日ごとでやっています。今日は母親、明日は父親ですね。
このスケジュールの調整がこの調停での主な論点です。
注意点
この調停での注意点、準備すべきことを、ネットで下調べしました。
1)自分の利益ではなく、子供の利益を優先する。
2)双方に親権や養育の権利があることを認める。
3)We, Ourなどの言葉を遣い自分と子供がグループであり、相手の配偶者は敵であるかのような話し方は避ける。
4)相手の配偶者を責めない。(夫婦の問題を話し合う場ではない)
5)相手に親権を渡さないなどの非常識な主張はせず、現実的にビジネスライクに話合う。
夫婦間の問題を言い争うのではなく、子供の養育のことを現実的に話し合いましょうってことです。
事前に弁護士に相談したこと
ネットでは答えが見つからなかったものを弁護士に相談しました。
それは、妻が離婚後どうやって生計を立て、子供達を養育していくつもりなのかということ。
僕の妻は自己愛性パーソナリティ障害による浪費癖があります。僕の給料はいつも簡単に使い切り、実家から僕の給料とほぼ同額の援助を受け、それもほぼ使い切ります。日本円で言うと年収1500万を得ながら、全く貯金が出来ない状態です。
妻は未だに働こうとする気配がありません。
離婚後、僕が養育費などを妻へ支払うとしても、それが僕の給料の総額を超えることはありません。僕自身が別会計で生きて行かなければならないからです。
僕の給料全額でも、全く足りない妻が、僕の給料の一部だけでやっていけるはずがありません。
だから、親権を少しでも主張するならば、経済的にどうするつもりなのかをちゃんと示して欲しい。子供達を破産の憂き目に合わせる訳には行かない。
別の言い方をすると、親権が欲しいなら、ちゃんと働くことを約束して欲しい。働かないというなら、親権は渡せない。または、実家からの援助に頼ると主張するなら、その援助が十分であることを示して欲しい。
僕はこういうことを主張しようと思っていたのですが、こちらの慣習は分かりませんので、事前に弁護士に相談しました。
日本では扶養能力は親権を決める上で重要な要素ですから、僕としては当然の主張だと思いました。
ただ、弁護士の答えは全く予想外で、ニュージャージーでは、親権を獲得した親が経済的に本当にやっていけるかどうかは、全く考慮されない。裁判所はそんなことは気にしないということでした。
まずは、親権と養育時間を決めることだけに集中し、その後、破産すれば、別の法的手続きが始まるのです。
やはり、日本とアメリカはかなり感覚が違います。
日本なら、破産することが分かっている親に子供達を任せられないって当然な主張だと思います。
郷に入っては郷に従えです。出来ないというものは仕方がないので、妻に対する経済的な不安などは一切話さないことにしました。
そして、先の注意事項にもありましたが、妻のDVモラハラについても僕の方からは話さないと決めました。
10分で終わった調停
そして調停が始まりました。
僕は、50%-50%のParenting timeで、一週間ごとの交代を提案しました。
そして妻はというと、僕がどれほど最低最悪な父親であるかを切々と語り始めました。
以前紹介した、自分にとって都合の良い事実だけを繋ぐ論法です。
僕の仕事からの帰宅時間がいつも遅い。子供の面倒を見れる筈がない!
早く帰れば、「出ていけ!どっか行けよ!死ね!見るだけでムカつく」と罵声を浴びせるのは誰ですか?もちろん、仕事で遅くなるときもあるよ。でも、そんな母親を子供達へ見せたくないって努力でもあるんだよ。今では、ベットルームで寝ることも許されず、無理やり押し込まれている部屋へゴミを投げ入れて嫌がらせをするのは誰ですか?食事もシャワーもダメって酷過ぎませんか?僕だって人間です。そんな家へ帰りたくないって思うときだってあります。みんなが寝た後で帰りたいって思うときもあります。
子供達と一緒に食事を摂ったことが一度もない。子供達と時間を過ごそうとしない!
一度もないは流石に誇張が過ぎませんか?君が作るとときは、僕の分だけ作らないよね。そんな僕の前にだけ食事が無い食卓でも、かんばって笑顔を作って僕は座っているよ。子供達と話しているよ。食卓を囲んでいるよ。自分で、僕の前にだけ食事がない状況を作っておいて、僕が子供と一緒に食事を摂っていないって主張は異常過ぎませんか?僕が作るときは、いつも君の分も準備するけど、僕と子供達と一緒に食卓に着こうともせず、食事を翌朝そのまま僕の場所へ突き返すのは誰ですか?パパが作るものは良くないから、食べないようにって子供達も巻き込んで僕が作った料理をボイコットするのは誰ですか?四人分作って、一人で食事して、翌朝、誰も手を付けなかった三人分の料理をラップして冷蔵庫へ入れる僕の気持ちが分かりますか?
ずっとこんな感じのモラハラ論法連発でした。
この二つが典型的なので紹介しました。
自分で夫が家に帰りにくい状況を作っておいて、帰りが遅い、家庭をかえりみない夫だと主張する。
一緒に食事をしようにも僕にだけ食事がない状況を作っておいて、僕が食卓についているのにも関わらず、子供達と食事を共にしない父親だと主張する。
調停では、自分と子供達は被害者だいうこの主張を泣きながらやっていました。
この異常性が伝わるでしょうか?
そして、妻は、僕は「月に一回夕食を共にするだけ」を主張しました。そう子供達が望んでいると。先ほど紹介した禁じ手のWeを使ってましたね。私達は、月に一回一時間を主張しますと。
これには調停員も少し呆れていたように思います。子供達がそう主張していると妻が言ったことに対して、「これは子供達ではなく、あなたが決めることなのよ」と諭していました。あまり物事が分かっていない子供の言ったかもしないことをそのまま主張するのではなく、大人として、もう少し常識的なことを言って下さいってことです。
単独親権があり得ないことはご存知でしょ?月に一時間では、単独親権ですよ?
それでも、妻の主張が変わることはなく、僕もこれは認められません。
調停員は、「月に一時間と、50%-50%では、同意に至ることはないですよね?」と聞きました。
妻も僕も同意に至ることはないと思いますと返答。
一時間半の予定の調停は10分ほどで終わってしまいました。
子供達が言ったという月に一回も、かなりなプレッシャーの中で言わされたことです。
彼らは敏感です。毒母が何を言って欲しいのかは嗅ぎ取ることができます。
今後の展望
僕は、妻はかなり頭が良いと思っていました。その知能の高さで、この離婚裁判を戦われたら、怖いなと思っていました。
でも、今回、妻の知能にも陰りがさしたように思います。
少しだけグーグルで検索すれば出てくる禁じ手を三つもやっています。
相手をひたすら責め立てる、自分と子供がグループであるように振舞う、非常識な単独親権の主張の三つです。
この程度の下調べもしていないことに驚きました。この程度の下調べはして、もう少し常識的な外面の良い対応をしてくるかと思っていました。
そして、モラハラ論法の連発です。
時間をかけて説明させて貰えれば簡単にひっくり返せます。相手を責めるのが、この調停の目的ではないことを僕は予習していたので今回はほとんど何も言いませんでした。
妻の主張の後に調停員から、「シンイチどうなの?」と聞かれたときに、「詳しくは言いませんが、妻からのDVがあり、それを子供達に見せたくないので、帰りが遅くなったり食事を一緒に摂れないようなことがあります。でも、それは、この調停で話すべきことでないことは知っています。子供達とはちゃんと一緒に時間を過ごしています。」と簡単に答えただけでした。
単独親権の主張もかなり驚きです。
妻の提出したCompliant for Divorce(離婚申請書)にも共同親権を主張すると書かれているのです。読んでないのか?
単独親権の獲得が難しいことを自分の弁護士と話していないのか?
妻の知能に陰りがさし、何のリサーチもせず、勝手な自分の思い込みで理不尽な要求しているのかもしれません。
さらに自分の弁護士とも上手くコミュニケーションがとれていないのかもしれません。
そうだとすると少し安心な部分も出てきます。頑固だが頭の悪い人の対応をするだけですから。また、先に書きましたが、その高い知能を使い緻密にジワジワとはめてこられる方が怖いです。
ただ、心配な部分も出てきます。それは、本当に裁判になってしまうかもしれないことです。ニュージャージーでは、裁判官に判断を委ねるTrialという本当の裁判になるのは、全体の離婚ケースの2%しかありません。ほとんどは、それまでに何等かの同意に至ります。
妻がこの状態で、何が常識なのかを全く学ぼうとせず、理不尽な主張を続ければTrialになってしまうかもしれません。僕も、共同親権など、Trialになれば、絶対に負けないという要求を受け入れることはできません。ただ、Trialになってしまうとお金も時間のかかってしまいます。
日本でもモラハラ加害者は話が通じず、最後の裁判まで行ってしまうことが他のケースよりは多いそうです。ある程度覚悟が必要かもしれません。
最後に
今回はかなり日記帳の記事になりましたが、少しでも役立つ情報が提供できていれば嬉しいです。
もし、アメリカでこの調停に臨む方がいれば、是非、僕の妻を反面教師にして冷静にビジネスライクに議論を進めて下さい。
離婚するのですから、相手に不満があるのは当然です。しかし、ここは相手を非難する場ではありません。その感情は横へ置いて、議論をしましょう。