Intensive Settlement Conference (ISC)
ISCとは、New Jersey州の離婚裁判で行われる離婚調停です。
とてもニッチな情報ですが、裁判官が調停員となる面白い調停方法です。
最終の離婚調停
フォーマルな裁判(Trial)は、離婚するカップルにとって、お金も時間もかかります。
また、裁判所にとっても、裁判官や職員の導入など、お金も時間も必要となります。
そこで、New Jerseyの離婚裁判では、可能な限り裁判(Trail)を避けて、本人同士で同意に至べきとの方針から、裁判(Trail)に至るまでにいくつかの調停をする必要があります。
ISCは、この最後の調停です。ISCで合意に至らない場合のみ裁判(Trail)となります。
つまり、ISCを終えなければ裁判(Trail)はできません。
少なくとも一回のISCを行う必要があり、複数回行われることもあります。
ISCまでに合意に至っていれば、ISCをする必要はありません。
裁判官が調停員となる
アメリカの離婚では最終のフォーマルな裁判(Trial)になるかどうかにかかわらず、それぞれの離婚のケースに裁判官が割り当てられます。
裁判に至るまでに合意に至れば、この裁判官がサインをして離婚が成立します。
最終の裁判となれば、この裁判官がそのままそのケースの裁判官となります。
ISCの最もユニークなところは、この裁判官が調停員を務めることです。
フォーマルな裁判の形式をとることなく、裁判官が合意に向けての提案をします。
ISCのプロセス
離婚するカップルと弁護士が参加します。
コロナの今では、オンラインとなっていますが、以前は裁判所で行われていました。
1時間ほどで終わることもあれば、丸一日行うこともあります。
裁判官が最初から付きっ切りで話し合いを行うこともあれば、話し合いのどこかの時点で現れて提案をすることもあります。
僕のケースでは裁判官は最初から付きっ切りで話し合いに付き合ってくれました。
その他のケースでは、裁判官が「では、合意に向けて話し合って下さい」と言い残して、姿を消して、どこかの時点で戻ってきて「どうなりましたか?」と状況を確認するそうです。
そこで、合意が難しいそうな部分について、提案をしていきます。
合意に至れば、それで離婚成立です。
合意に至らなければ、もう一度、ISCをスケージュールすることもあれば、裁判をスケージュールすることもあります。
裁判をスケージュールする場合には、裁判官は一般的に、脅しをかけます。
僕の場合は、再度のISCがスケージュールされましたが、それでも、脅しはかけていました。
「貴方達のケースは、単純なもので、裁判をするようなものではありません。裁判となれば、多額の費用が必要です。裁判は数日かかり、貴方達の貯金額を考えると、裁判の後半は、弁護士をつけることが出来なくなるでしょう。どちらの弁護士も優秀ですが、離婚裁判を弁護士なしで戦うことになります。裁判も連続のした日程では行われません。最悪のケースはすべてが終わるまでに2年ほどかかります。」
司法のメッセージ
このISCの司法のメッセージは、とにかく、裁判(Trial)をせず、自分達で合意して下さいということです。
「ISCでの裁判官の提案を元にお互い話し合い合意に至った方が時間もお金も節約できますよ。時間とお金を使って裁判(Trail)をしても、どうせ同じ裁判官ですから、ISCでの提案と同じようなものです。是非この場で離婚の決着をつけて下さい。」
このような司法のメッセージが込められています。
実際にその通りだと思います。
このISCで合意しない理由は全くありません。
裁判所から要求される他の調停にEarly Settlement Panel (ESP)があります。
この調停では、ボランティアの離婚弁護士が調停員となりますが、この調停員の提案は、実際に裁判になった場合の判決とよく一致することが知られています。
このESPで合意しない理由も全くありません。
僕は、ISCもESPも調停員からの提案には全く逆らっていません。どうせ、裁判になっても同じ結果が出る可能性が高いからです。これ以上にやるのは、時間もお金も無駄です。
しかしながら、どちらか一方が、異常な主張をするとどうしても裁判になったり、時間もお金もかかります。調停員の提案に従わず異常な主張を続けるからです。
まとめ
Intensitive Settlement Conference (ISC)はNew Jersery州で行われる離婚調停です。
裁判所から要求される最後の調停です。裁判をするためには、このISCを少なくとも一度はする必要があります。
その離婚を担当する裁判官自身が調停員を務めます。
この調停も裁判も裁判官は同じ人なので、このISCでの提案がそのまま裁判でも採用されることが多いです。
まともな考えができる人ならば、このISCで合意に至らず、裁判をする意味がないことが分かります。
しかし、どちらか一方が異常な人間だと、次の裁判に進むことになります。